組織と人事の基盤作り

ここ10年間で盛んに行われた成果主義人事に象徴される報酬・評価制度作りの運動は、組織の形式知だけを膨張させる取り組みでした。
形式知の肥大化が組織モラール低下等の深刻な弊害を生み出していることは、すでに見たとおりです。
これからの組織・人事の基盤作りは、これまでの過ちを決して繰り返さないようにすることが前提となります。
ソフィアコンサルティングは、ここまでご紹介した組織と人材強化の効果を定着させる取り組みとして、人材育成と並行した有機的で簡便な人事制度作りをご提案していきます。

制度作りの2つの側面

これまでの歴史を振り返ると、人事・組織に関わる制度作りには2つの側面がありました。
ひとつは、経営上及び法令上の最低限の機能を制度として整備するという側面。もうひとつは、制度を活用して人材のモチベーション向上等何らかの経営成果を直接生み出そうとする側面です。
ところが、2つ目の側面は、経営的に見てまったくの誤りだったといえます。
人は制度が存在することによって“安心”することはあっても、それによって動機付けられることは極めて稀だからです。
企業におけるこの間の取り組みは、こうした現実を見誤ったものでした。

これからの制度作りのスタンス

とはいえ、成果主義人事が失敗したからといって、制度作りをネグレクトしてよいわけではありません。むしろ、経営方針が適切に落とし込まれた制度的基盤は不可欠なものです。
特に、給与・報酬制度や、処遇と人材成長の基盤としての社内資格等級制度を簡便な形で整備しておくことの必要性は、組織内における人材育成の見直しが進んでいる現在、一層高まっていると考えられます。

制度作りの2つの方向

これからの組織人事制度作りの方向は、2つの観点から捉えることができます。
まずは、人材価値向上(※人材と組織の成長)を底辺で支える機能を確保することです。
社内資格等級制度、昇格審査制度、人事評価制度を簡便に整備し、それを一貫したコンセプトの下で有機的に連動させることが必要です。
2つ目は、業績管理に活用できるような機能を確保することです。
特に、給与報酬制度を、短期的だけでなく中期的な見通しの中での人件費マネジメントに活用しうる仕組みにしておくことが不可欠です。
また、中期的な人件費マネジメントのためには、組織・要員管理との結びつきが明確な仕組みにしておくことも見落とせない点です。
以上の2つの方向性を意識しながら、企業成長と競争力確保を進めることができる、組織・人事基盤としての制度体系を確保しておく必要があるのです。