伝統と技能の継承
長い時間をかけて歴史的に引き継がれてきたもの(=伝統、tradition)の中には、必ずそれなりの存在価値が内在しています。私達は、そこから学ぶ努力を怠ってはならないでしょう。
一方、伝統に依存するだけでは、コンペティティブな能力を獲得することはできません。そこには、与えられた環境条件の中で、伝統を再構築し内面化する作業が不可欠なのです。
先人から後輩へ技能を継承すること、したがって、それは模倣と伝承を超えた新たな創造でなければならないのです。
進まない技能の継承
営業プロセスで、そして製造の現場で、技能継承が停滞していると言われています。
かつて緊密に進められていた先輩から後輩への指導が、うまく進まなくなっている状況。そこでは、何が起こっているのでしょうか。
第一の原因は、伝統的価値が軽視される風潮です。現代の人々は、長い時間を掛けて形成され引き継がれてきたものを、いとも簡単に切り捨てる習慣を持つようになりました。
第二の原因は、「教え〜学ぶ」関係の希薄化です。ここには、「ゆとり教育」導入以来弱体化が進む学校教育の荒廃が影を落としています。
価値の継承と関係の再生
従って、まず必要なことは、歴史的な価値(※社会的伝統、組織バリュー)に目を向け、その重みを再共有することです。それなくして学習へのモチベーションは生まれません。
次に、歴史的価値へのコミットメントを、技能継承につなげることが必要です。そのために必要なことは、教える者と学ぶ者との関係の再生です。断絶しつつある両者の関係を、形式ではなく人格的な絆として結びなおすことが必要なのです。
技能継承の意味
先人の技能継承において、いわゆる模倣はきわめて重要な意味を持ちます。ただ、単に模倣するだけでは、真に技能を継承することにならないでしょう。
技能の継承とは、歴史的に継承されてきた伝統の価値にコミットしながら、新しい独自の“ワザ”を生み出すことに他なりません。そうして初めて、先人の技能は、自己の中で活用可能なコンピテンシーとしての能力へと昇華していくことになるのです。
技能継承の具体策
技能継承のプロセスとは、従って、歴史的価値の共有⇒「教え〜学ぶ」関係の形成⇒先人の技の模倣⇒技の意味の理解と独自の技としての内面化、という4つの段階を経ることになります。このうちのどれが欠けても技能継承は不可能であり、コンピテンシー(※成果を生み出す、競争力としてのスキル)は形成されません。
ソフィアコンサルティングでは、多様な技能継承プログラムにより、若手〜中堅層の成長を強力にサポートしていきます。