人事・組織基盤構築支援
忘れてはならない「成果主義」の最大の教訓は、人事制度構築を目的化してはならないということです。制度の目的化からは、弊害は生まれても、決して組織と人材の活力が生まれ出ることはありません。
一方で企業は、人材育成と組織変革の成果を、その制度的基盤の中に取り込む努力を怠ることができないのもまた事実です。それがなければ、日々の有効なマネジメント実践とその成果は、次々に過去の記憶の彼方に消え去り継承されることはありません。
[実践⇒成果⇒定着⇒継承]というサイクルが、組織の永続のためにはどうしても必要です。そして、その中の“定着化”を担うものこそが、人事・組織制度なのです。
ソフィアコンサルティングは、このような認識に立って、企業戦略に密着した簡潔・明快な制度基盤構築をサポートいたします。
プロフェッショナル人事制度体系
1. | コンセプト | |
プロフェッショナル人事制度体系は、プロフェッショナル人材をマネジメントするため、社内資格認定制度(=プロフェッショナル資格制度)を軸に、人事・組織評価、総合報酬といった諸制度を有機的にリンクさせた仕組みです。 その有機性は、狭義の人事制度の枠内にとどまらず、組織・要員管理(≒プロジェクトマネジメント)、組織業績評価、人件費マネジメントといった、業績管理のための仕組みをセットで構想することで保障されます。 |
||
2. | “プロフェッショナル人材”とは? | |
ある人は「プロであるとは、常に結果を出し続けることだ」と言い、またある人は「プロとは、高いモチベーションを持続できる才能を持った者のことだ」と言います。 それらの見解は、一つの答を別の角度から見ているだけで、いずれも真実といえるでしょう。 さしあたり、私達はプロフェッショナルの条件を次の3つの観点に集約できそうです。 |
- 高い業績を常に出し続けることができる。「この人なら大丈夫」という信頼感
- その道における一流の技量(=コンピテンシー)を備えている
- 仕事への新鮮な気持ちを持続し、類稀なワークモチベーションを備えている
業績、コンピテンシー、モチベーション(ないしはコミットメント)、これはプロであることの3要素であり、どれも欠かすことができません。
3. | 組織が目指す人材層の範型 | |
とはいえ、プロフェッショナル人材とは、決して一握りのエリート人材とは明確に異なります。モチベーションを持続し、ひとつの道に信念を持って取り組み続ければ、誰もが等しく到達することのできる水準でもあるのです。 したがって、ひとつの道を進む人材は等しくプロフェッショナルを目指すべきであり、また組織が経営を指向するならプロフェッショナル人材の育成を目指すべきなのです。 プロフェッショナル人事は、そのためのプラットフォームであり、競争力向上を目指す組織体の羅針盤です。 |
プロフェッショナル資格制度
1. | コンセプト | |
プロフェッショナル資格制度は、職能資格制度等、従来型の「人事・労務」に閉じた人材マネジメントを脱却し、人事と経営戦略の統合を指向するための、人材格付け制度です。 プロフェッショナル人材のための人事制度体系の核とすることができます。 |
||
2. | 制度構築のポイント | |
制度構築には、経営戦略・組織戦略との連動以外に、大きく次の3つのポイントがあります。 |
- キャリアコースをいくつかの「レール」に整理し、絞り込むこと
- 資格レベル認定を企業競争力にリンクしたコンピテンシーによって厳格に行うこと
- 資格レベルと対応するミッション(※職務と成果責任)を配置上リンクさせること
※つまり、ある資格レベルになければ対応するミッションを組織上与えない
このような原則を徹底することにより、資格のプレゼンスを確保し、その人材価値を市場価値につなげるようにしていくことが、マネジメント上の重要ポイントです。
プロフェッショナル社内資格認定制度の構成
知識・キャリア・コンピテンシーにわたって、総合的実力を戦略的に見極める仕組み
コンピテンシー評価制度
1. | コンピテンシーとは? | |
組織の競争力を構成し、求められる成果・業績を生み出す能力、これがコンピテンシーの意味です。 近年多くの企業で導入が検討される中で、その意味はともするとあいまいになりがちですが、下図のように表すことができます。 |
コンピテンシーの概念
単に形式知レベルではなく、モチベーションや価値観といった暗黙知と統合された能力であることが、人材マネジメントを進める上でのポイントです。 |
2. | コンピテンシーのマネジメントへの活用 | |
コンピテンシー活用の可能性は、主に次の3つのマネジメント分野にあります。 |
- 資格認定審査
- 人材育成マネジメント→関連記事はこちら
- 人事評価マネジメント
ただ、資格認定審査(※面接等による審査)と人事評価とは、評価の目的とそこに関わるステークホルダーが異なるだけで、コンピテンシーによる評価という点は同様です。
3. | コンピテンシー評価制度の構築 | |
制度構築には大きく2つのポイントがあります。 |
- 簡便な評価基準(※コンピテンシーディクショナリー)を構成すること
コンピテンシ―評価イメージ
評価 項目 |
コンピテンシ−評価基準のチェック | ウェイト | 自己評価 | 評 価 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
評定 | 得点 | |||||
人材マネジメント | ナレッジマネジメント等により必要な情報を日頃から共有して、プロジェクト推進のための協力関係を予め確保している。 | 20 | B | B (0.5) |
10 | |
顧客ニーズへの対応を視野において、部下の業務を軌道修正している。 | ||||||
失敗を犯した人材のモティベーションを回復させている。 | ||||||
長期にわたる複雑な仕様を持った営業活動において、コストや他の経営資源を勘案した適正な要員計画を立案している。 | ||||||
組織レベルでの要員分析に基づいて、年間ベースでの教育計画を立案し確実な実施を促している。 | ||||||
実務的な計画にとどまらず、営業戦略の方向性を分かりやすいビジョンとして明示し、部下に適切な目的意識を持たせると共に、高いモラールを確保している。 | ||||||
合計 | 100 | 68 |
- 運用を重視し、評価者(※マネージャー)の実践的教育を継続実施すること評価の項目や基準は、あくまで簡便を旨とすべきです。
複雑な部分は、運用を続け組織内のコンセンサスを高める中で充実させられますが、複雑な仕組みによって壊されたコンセンサスを再建するのは、容易ではありません。一方、評価者(=マネージャー、面接審査の場合は面接官)への教育は、手間を惜しむべきではありません。それは、評価スキルを高める場であると共に、人事政策に関するコンセンサス形成のプロセス(※つまり、組織力を高める場)でもあるからです。
総合報酬制度/人件費マネジメント体制
1. | 報酬制度に求められるもの | |
「報酬によって人材が動機付けられる」という見解は、成果主義のドグマ(※教条)ですが、明確な誤りです。 では、報酬制度の機能とは何でしょうか? 次の2つに整理できます。 |
- 中長期的なキャリア形成(=成長)支援機能
- 人件費マネジメント機能
第1点目は、報酬によって直接人材を動機付けるのではなく、長期的なキャリア形成(※具体的には、プロフェッショナル人事制度に基づく)とリンクし、人材価値を適切に反映した水準を明快に支給できるようにする機能です。 第2点目は、給与、賞与、退職金、その他間接的人件費(※福利厚生費、教育研修費等)を含めて、要員計画に基づく中期的な人件費計画が立案しやすいようにする機能です。 こうしたコンセプトに基づく、報酬制度設計・給与改革を、クライアントのニーズに基づいて、柔軟にご提供します。 |
2. | 人件費マネジメントの考え方 | 人件費マネジメントのプロセスは、次の3つに分類できます。 |
- 単年度での業績管理上のマネジメント
→年度経営計画の中での適正労働分配率等を基準にマネジメントする - 中期的な要員計画に基づくマネジメント→関連図表(人件費管理マネジメントのコンセプト)
- 中期的な採算計画に基づくマネジメント
→経営目標に基づいて、人件費構造の変革をマネジメントする
報酬制度のあり方は、短期・中期を含めた人件費マネジメントの柔軟性に大きく関わっています。 したがって、その検討は必ず人件費マネジメント(≒業績管理)の戦略をセットで構想していく必要があります。 |
3. | 報酬制度設計 | 総合報酬戦略=人件費マネジメントに基づく各種の報酬制度設計をご提案しています。 |
- 実力連動型給与制度→関連図表(実力連動給与制度への改定イメージ)
- 年俸制
- 業績連動賞与制度
- 績反映型退職金制度/企業年金制度
- 業績反映査定システム
人件費管理マネジメントのコンセプト(※中期レベル)
階層(≒等級)別要員計画によって、総額人件費の推移を計画する
実力連動給与(※増減変動型給与)制度への改定イメージ
等級格付(=市場価値)に応じた処遇水準を、経営の“メッセージ”として明確化!