行動変革と自立性強化

経営環境の変化に機敏に対応すること、そのために行動習慣を柔軟に変更できること。これは、今日の企業における大きな人材育成ニーズのひとつです。
ソフィアコンサルティングは、第一線人材の自立性が損なわれた歴史的経緯に目を向ける中から、本質的な行動変革ソリューションをご提案していきます。

行動が変わらないという現実

90年代からこの方、まるで流行病のように企業組織を席巻した成果主義マネジメント。その最大の負の遺産は、社員の行動が変わらないという事実でした。
所期の目論見に反して、成果主義は多くの組織において、人材のモチベーションを低下させコミットメントを損なってきました。

“形式化の運動”としての成果主義

なぜ、成果主義は行動を変えられなかったのでしょうか?
ある人は成果主義自体は悪くないといい、問題はその運用体制や組織の側にあるといいます。果たして、それは本当なのでしょうか?
この問いを解く鍵を、組織の基本構造の中に見て取ることができます。
下図は、組織の成り立ちを上部構造と下部構造に分解した概念図です。

組織の上部構造と下部構造

組織の上部構造と下部構造

組織とは、図の上の部分(※文字にされ制度化・形式化された領域)と下の部分(※文字にされていない、または形式化する価値が低い領域)から成り立っています。
この図に基づいて成果主義を振り返ると、それが上部構造のみを肥大化させる運動、つまり極端な形式化の運動であったことが分かります。

成果主義の功罪

目標管理等によってミッションや職務課題を文字として記述し始めた成果主義は、コンピテンシー論が流行するに及んで、遂に人材の能力やナレッジの中身までも文字によって形式化することを目指すようになりました。
とはいえ、これが危険な実験であったことは、近年の事象が余すところなく示しています。企業では、大きな不祥事や大事故が相次ぐようになりました。
鉄道や航空機の事故、ガス器具や電力設備での事故・不祥事、金融業でのコンプライアンスに纏わる様々な不祥事等、事象は枚挙に暇がないほどです。しかも、その多くに、広い意味での成果主義マネジメントが関わっているのです。
経営成果に目を向ける多様な契機を創り出した功績を評価するにしても、成果主義の負の側面は、すでに看過できない深度と広がりを持っています。

行動変革への“動機”を回復すること

成果主義によって失われた最大の資産。それは、組織の中の人と人との緊密な絆によって、職務行動への動機が日々再生産される有機的なプロセスです。
かつての組織では、問題が生じたり困難な課題に直面すると、メンバーは必ず周囲の人達に相談し議論を重ねる中で解決していったものです。
行動が変わらない直接の事情。それは、目前の繁忙であったり、組織への不満であったり、スキル不足であったりと様々です。しかし、その底流にあるのは、行動への“動機”の再生産プロセスであり、人と人との絆と信頼に他なりません。
行動変革への鍵は、ここにあるのです。