定期レポート2015年7月

ソフィア・アイ:相手の関心に沿った対話をどう実現するか?

 

先日、あるメーカーで若手メンターの研修を行った際、非常に活発な質疑が交わされた中で次のような質問が出ました。

 

「(対話の演習をしていて感じたのだが…)メンターとして真摯に対話をしているつもりでも、メンティーが話したい話題を見逃したり素通りしてしまうことがあると思う。そういうことを出来るだけ予防するために、なにかよい方法はないか?」

 

これは、広がりのある示唆的な質問で、講師として大変関心しました。

この質問の周辺にある思考こそが、メンタリングで実現したい人材育成の本質を見据えていると言っても、言い過ぎではないでしょう。

 

というのも、人が成長するとは、簡単に言えば、(それまで自分にはなかった)他者の視点、ものの見方や考え方を、自分の中に取り込むことだからです。

この質問者は、そのことを十分に理解しているのみならず、指導者=メンターとしての自分の成長にも目を向けています。

 

これに対して、講師である私は、差し当たり次のように回答しました。

 

「まずは、(今日の研修で)共有してきた対話の基本をきちんと行って欲しい。その上でだが、メンティーとの対話(会合)の最後に振り返りの時間を設けるのがよい。単にメンティーの課題について話を進めるだけでなく、対話の進め方そのものについて、メンティーからフィードバックを受けるわけだ。具体的には、『今日の対話の満足度はどれくらい?』とか『対話の進め方で、改善して欲しいところはないか?』等と問いかけ、対話そのもののプロセスに関するメンティーの要望を吸収していく。それを、次回以降の会合の進め方に活かせば、上記のような懸念を徐々に解消できるだろう。」

 

対話の基本とは、対等で、相互的で、本音を共有するコミュニケーションのことです。

そのようなつもりで対話を行っても、自分の視野にかげりがあり、メンティーの気持ちに配慮できないこともあるだろうと、質問者は想定しているわけです。

それに対しては、もちろんいろいろな対処法があるでしょう。メンティーのことを様々な情報に当たってよく知る等もそのひとつでしょう。

ただ、対話に限定して考えると、上記のように対話のプロセスを意識する進め方が有効です。

対話を行う人たちは、ともすると、その中で出てくる話の“中身”にだけ関心を集中してしまいがちです。もちろん、それはそれでいいのですが、対話の質を高め、相互理解をより深めるには、様々な“中身”がその上に乗っている“土台”にも目を向けなければなりません。それが、対話のプロセスであり、プロセスそのものについて振り返ることです。

メンターが対話のプロセスを振り返り、自身の対話力を高めるもっと有力が鍵が、「弟子」であるメンティーからのフィードバックなのです。

 

 

 

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