定期レポート2015年5月
ソフィア・アイ:日本発ビジネスモデルの要
JR東日本のグループ会社に、「JR東日本テクノハートTESSEI」という会社があります。
新幹線を利用する人であれば誰でも、「新幹線が東京駅に入線してくると、てきぱきと気持ちよく車内清掃をしてくれる人達の会社」と聞けばピンとくるでしょう。そのビジネスモデルの優位性が世界から注目されるようになって、かなり経ちました。アメリカでは、その仕事ぶりが「セブンミニッツミラクル(※僅か7分間で1列車の清掃が終わるので)」と報道されているそうです。今では、あのテーマパークのようなユニホームも、すっかり定着しています。
ところで、その現在のビジネスの姿を作り上げた仕掛け人である矢部さん(※「おもてなし創造部長」という役職、※現在は既に退任)は、約10年前に、本体の安全管理部門の責任者から転籍してきたのだそうです。
当時、社員は有能なものの決して高くはなかったその士気をどう高め、清掃というともするとネガティブなイメージのサービスのコンセプトをどう変革し、そしてその背景にどういった思想を持っていたかを、日経BP社のWEBリポートで詳しく語っています。
社員の士気を高め、ビジネスの付加価値を高めていく工夫が色々と語られている中で、特にその後段に紹介されている「エンジェルリポート」という、リーダーが現場社員の小さな職務行動に注目して称えるという活動は注目に値します。
その一部を抜粋してみると、次のようなものです。
※リーダーによるリポート
「1月2日(木)8:23頃 第1ホーム21番線6号車付近で、作業を終えて移動途中の2組KさんとSさんが、お客様より『キヨスクの前に嘔吐物があるのですが、お掃除していただけますか・・』と声を掛けられました。2人はホーム下から道具を持ってきて、すぐに処理をしてくれました。次の作業が迫っていましたが、まだ間に合うと判断してすばやくきれいにしてくれました。素早い判断と手早い作業で的確な処理をありがとうございました。」
※それに対する現場長のコメント
「2人の連携によってお客様も安心されたことでしょう。さすがはプロのなせる技です。ありがとうございました。」
ここには、既に色々な会社でよく行われているようで、まったく異質な新鮮さがあります。
なぜなら、その施策の背景に、「おもてなし創造部長」の次のような思想が流れているからです。
「最初はなかなか報告があがってきませんでした。『当たり前のことをやっているのに、なぜほめなければならないのか』という意見もありました。「なぜ一般の表彰制度のように、突出した従業員だけをほめるのではいけないのか」、と。私の考えでは、現場を支えているのは一部の優秀な人間ではなく、すべての従業員です。多くの従業員が当たり前のことを当たり前のようにちゃんとやることで、弊社を担ってくれているわけです。そこに焦点を当てなければなりません。」
(※日経BP社によるインタビューから抜粋)
一部の優秀な社員ではなく、その他大勢の社員をいかにマネジメントし活かすか、まさにここにこそ、日本企業がグローバルで勝ち残る鍵があります。
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