定期レポート2015年4月

ソフィア・アイ:グローバル化を生き抜く戦略

 

1.グローバル化の「効果」

つい先日、ネット上で中国の通信社が配信した興味深い記事を見かけました。
昨今の円安の影響もあり、中国から日本への観光客が益々増えていることに対する、中国内の「嘆き」の声を伝えたものです。

そこには、「愛国心」の視点から清明節前後(4月初旬)の日本への旅行に批判的な声に混じって、意外にも、旅行者への日本での接遇を評価する意見が混じっています。

「日本は確かに楽しい。いろんな国に行ったが、日本は最も愛される国だ」
「香港、台湾、日本を比べると、日本人が中国人観光客に一番優しい」。

こうした旅行経験者の声には、中国人の本音と日中関係の本質が、よく滲み出ているように思えます。

周知のように、日中関係は政治レベルでは近年対立が先鋭化しています。

ところが、中国人旅行者の眼には、他のアジア諸国と比較において、日本の文化的な洗練度や民度の高さが印象付けられているようです。ここからは、観光客増でお互いへの認知が深まれば深まるほど、中国政府の宣伝・教育とは全く異なった日本の姿が浸透し、実態としての国際関係が改善している事実が伝わってきます。

こうした事実を踏まえると、日本の取るべき道は、目先の外交課題に過度に固執したり、まして中国政府の様々な挑発に安易に乗ることではなく、歴史的に積み重ねてきた文化や産業の伝統を、これからも着々と培っていく事だと分かります。

 

 

2.グローバル化への対処

「グローバル化」への対応策として、英語の「社内公用語化」を初め、言語教育を強化する企業が増加しています。これは、小学校での英語教育カリキュラムの拡充を急ぐ学校教育にも同様の傾向があります。

とはいえ、外国での人脈構築や商談といった現実のビジネスシーンを想定すると、英語教育だけでは到底覚束ないといえます。というのも、ビジネス言語とは、詰まるところテクニックであり、通訳等による代替も可能だからです。

一方、コミュニケーションのクオリティや内実は、英語学習ではなく、自国や相手国の文化、歴史、地理、宗教、生活習慣といった“教養”の蓄積によってのみ充実させる事ができます。これは、テクニックではなく、人材の本質的な素養、実力に属する能力です。

そして、その点をこそ、諸外国の潜在顧客や競合企業は見るものでしょう。

グローバル化を指向するのであればなおさら、言語学習以上に、ビジネスとコミュニケーションの根底を支える教養や人格の陶冶に力を注がなければならない時代だといえそうです。

 

 

 

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