定期レポート2013年5月

ソフィア・アイ :人材育成において大切な価値

 

友人から聞いた話ですが、学生時代の同級生宅で開かれた夕食会に招かれた時のこと。最初にテーブルに出されたお料理は、素朴ながらとても美味しいかぼちゃのスープでした。ところが驚いたことに、それを作ったのはまだ小学校低学年のお嬢さんだったのです。

 

実は、そこの奥さんは近年乳がんを患っていました。幸い初期で発見され切除手術で無事完治したのだそうです。それでも、がんという深刻な病を体験して、自分の子供達の将来がとても心配になったようです。そのため、小学校に入ったばかりの年端もいかない娘に、できるだけ身の回りのことや家事を教えておこうと思ったとのこと。お料理もその一環なのでした。

 

一通り夕食をご馳走になった後に、友人はそのお嬢さんが自分で書きとめたスープのレシピを見せてもらったそうです。そこには、まだ幼い文字ながら、お母さんから教えられた調理の手順が、しっかりと箇条書きで書きとめられていたそうです。

 

さて、このエピソードから、私たちは人を育てる上での大切なポイントを理解することができます。それは次のようなことになるでしょう。
  ?この子に何としても自分の持てる「能力」を授けておこうという熱意
  ?相手の条件(小学校低学年)に合わせた(レシピを作らせる等)丁寧な指導
  ?娘の将来への強い想い(心配)を基礎にした、母子の信頼関係
その結果、この女の子は実際にお料理ができるようになり、色々な家事をこなす習慣が身についたのです。もっとも、見ようによっては、こんなことは当然かもしれません。

 

さて、今多くのの企業や組織で行われている人材育成や研修は、果たしてこうした条件(?指導者の熱意、?相手の条件に合わせた指導、?育成に関わる者同士の信頼関係)を満たしているでしょうか。
私たちは、ともすると、人材育成の目的を狭義の知識やスキルとして捉えてしまいがちです。ところが実はそれ以上に、人の成長を支えるものは、教える者・学ぶもの相互の関係のあり方なのです。
組織におけるそうした関係性の再構築こそが、現代における人材育成の重要な課題であることに留意しておきたいものです。


 


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