定期レポート2009年10月
ソフィア・アイ :自己との対話
ゴルフの石川遼や宮里藍、体操の内村航平をはじめ、最近は日本の若きアスリート達の世界レベルでの活躍が、連日報じられるようになりました。
陸上や水泳等の基本競技、野球やゴルフ等の球技を問わず、スポーツにおけるわが国の国力は、近年飛躍的に高まっているように見えます。
過去長く低迷していた頃と現代とで、どこに違いがあるのでしょうか?
MLBのイチロー選手は、言わずと知れた日本を代表する世界的アスリートですが、その特徴は、「継続・持続」を常に意識し、長い時間軸の中で自分の競技者人生を考えているところにあります。
彼のインタビューでのコメントからは、どうすれば肉体的に長く競技を続けられるのか、また精神的な面でどうすればモチベーションを長期的に持続できるのかという1点に関心が集中していることが分かります。
例えば、次のような問答の中に。
Q:「なぜ、打席に入るとき、いつも同じ一連の動作を繰り返すのですか?」
A:「頭の中では、常にいろんなことを考えてしまうものです。勝負どころで不安にもなれば、前の失敗を不必要に思い出したりする。同じ動作を繰り返すことで、それを出来るだけ少なくしているんですね。」
Q:「なぜ、打率ではなく安打数にこだわるのですか?」
A:「打率というのは、コンスタントにヒットを打たないとすぐに下がるので、それを意識しすぎるととてもつらいんですよ。それに対して安打数は積み上げなので、一度打った実績はなくなりませんからね。」
※『NHKスペシャル』でのインタビューから
そう、トップアスリートは、こうして常に自分の中でもう一人の自分との対話を繰り返しているのですね。
そうして、一時的にではなく長い時間の中でパフォーマンスを最大化するように自己をコントロールしようとしています。
それを繰り返すうちに、傍からは、極めて高い人格的能力を備え、また不抜の集中力で勝負に臨んでいるように見えてきます。
それは、弱冠18歳のプロゴルファー・石川遼選手においても、全く同じです。
高い人格力と集中力は、試合後のインタビューでのコメントにも表れます。
そこで彼はいつも、一打一打に臨んだ時の意識や狙いをよく憶えているので、聞く側はとても興味が湧きます。
同時に、試合に勝利したとき等、必ず周囲の支援者への感謝の表明を忘れません。
それもやはり、支援者への感謝の気持ちを持って、常に自分の中での対話を繰り返しながら一打に臨んでいるからなのでしょう。
企業マネジメントに携わる私たちも、様々な問題を克服するために、近年組織コミュニケーションやメンバー間での対話活動を重視し実践するよになっています。
その対話充実の鍵は、実は他者とのコミュニケーションばかりでなく、いかに自分自身との対話が充実しているか、という点にもあるのではないでしょうか。
「自己との対話」の実践というわけではありませんが、筆者はこの10月、ある山岳ランニングレースに参加してきました。
東京奥多摩の山中を71.5キロ(※標高差1350M)にわたって、24時間の制限時間内に走破するというレースです。
スポーツの分野としては、最近人気が出ているトレイルランニングという競技に属しますが、日頃ランニングをやっていて参加する人もあれば、若い頃から登山等で山に馴染んでいるので参加している人もいて、その動機は様々です。
このレース自体も最近は関心が非常に高く、6月にネットで募集を開始した際は、約2時間で2000名の定員がすぐに一杯になってしまいました。
24時間制限ですが、トップの選手の記録は、今年は何と新記録の7時間31分でした。
それに対して、全完走者中ちょうど真ん中の順位の選手の記録は16時間30分で、人により大きな差があり、各人いろいろな参加の仕方をしていることが分かります。
それぞれの選手が、自分なりの動機と目標を持って、極限状態の中で自分と対話し、自分を何とかコントロールしながらゴールを目指します。
ゴールの後にある、何ものにも変えがたい達成感と爽快感と、そしてその後の人生へのエネルギーを掴むために。
※レースの詳細な模様は、下記リンクのブログに掲載していますので、ぜひご覧下さい。
【⇒日本山岳耐久レース(ハセツネカップ)への参戦記はこちら】
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